ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「たまらない……」


片手があたしの頬に添えられ、あたしの顔を固定しながら、角度を変えて何度も啄むような口づけを繰り返す。


そして玲くんは自分の身体を押しつけるようにしながら、片手であたしの腰を引いてがっちり固定する。


服地越しに触れる肌が、火傷しそうに熱を孕んで痛くなる。


あたしは何とか玲くんから逃れようと、身を捩るけれど、捩った体勢のまま玲くんに更に身体を押しつけられ、きつく抱きしめられた。


逃がしてくれない。


「たまらないよ……芹霞……」


その呟きと共に、唇の動きは性急になった。


優しさなど微塵もない直線的な口づけ。

余裕がないというように乱暴で。


「玲……っ……んんッ!!」


驚きと息苦しさに抗して玲くんの背中を叩いた手は、玲くんに容易く腕を掴まれ、そのまま滑るように掴まれた掌は、玲くんの着る服の下……玲くんの直の胸に押し付けられた。


「芹霞、このまま……んっ、発作で……っ…・・死んでも」


微かにそう漏れ聞こえる、

掠れきった艶めく声音。


汗ばんで炎のように熱い玲くんの胸の鼓動は、恐ろしく早いもので。


狂ったように早く打ち続ける玲くんの心臓が、止まってしまうかと思った。


「僕に……応え…て?」



口腔内の灼熱の塊が、あたしの弱い処ばかりを攻め立てる。


身体ががくがくして、電気のように奔る切ない痺れにあたしは声を漏らす。


すると玲くんが微かに笑った気配がした。


朦朧とする意識の中で、色香をたっぷり含んだ甘い声があたしを未知なる世界へ誘う。



「舌……搦めて?

こう……そう、んっ…可愛い……」



耳に響く…卑猥な水音。


段々と激しさを増していく。


誘われるがまま、

より深い繋がりを求めて…絡み合う。


玲くんの声は…動きは…

まるで麻薬。

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