ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
玲くんまでが、そんな発言するとは思わなくて。
あたしはどう返していいか判らずどもってしまう。
しかもそう宣言した玲くんの顔は、実に晴れ晴れとしていて。
更に特有の甘ったるいピンクの色気が、実に爽やかに拡がるものだから、不意打ち食らってあたしは蹲(うずくま)った。
ずきん、と太股の傷が脈打つ。
玲くんは体勢を崩したあたしを支えるように、腕を掴んで立たせてくれたが、
「僕は、君を傷物にした責任はとるよ?
責任…っていう言葉はいいね。
一生を縛るのに十分な威力がある」
ぶわり。
間近で微笑むその色香の凄さに、
あたしは思わず後ろに仰け反った。
更に玲くんは、
「ねえ、僕と煌…
どちらのキスが良かった?」
とんでもないことを訊いてくる。
「教えてよ。今後の課題にするから」
「今後って……
これは完結したことで」
あたしが顔をひきつらせると、玲くんはにっこりと微笑んだ。
「勝手に終わらせないでね」
「……え?」
「僕はちゃんと選択肢を用意しただろ? こんな目にあっても君が自らの意思で望んだんだ、"僕"を。
だから――引かないよ。
引けるわけないじゃないか。
覚悟していてね、芹霞?」
ざわり。
悪寒が背に走る。
覚悟って…何の覚悟?
「あの……選択肢の訂正は……」
「認めない」
即座に切り捨てられた。