ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「それからね、"僕"は偏狭で嫉妬深い。君が煌であれ櫂であれ陽斗であれ、触られていればいつどうなるか判らないよ?
迂闊な…軽はずみな行動は控えてね?」
玲くんは脅しのようににっこりと笑った。
「先に僕に求婚したのは、
――…芹霞だよ?」
確かに…
"嫁"に望んだことはあったけれど。
「だけどあれは――」
「ん?」
「今の状況は、藤姫のせいで…」
「ん?」
小首を傾げながら、笑顔で聞き返す仕草。
可愛い。
その仕草は可愛いけれど。
それ以上に…
抑え込められているように感じるのは何故だろう?
「ふふふ、2人の未来が楽しみだね」
玲くんの頭には、
結婚にまで行き着いてしまったらしい。
「………」
想像してみた。
あたしがタキシード着て、
玲くんがウェディングドレス着て…。
"おめでとう、美人な花嫁さん貰ったね"
"羨ましいな、大切にしてやれよ"
未来の"招待客"に声をかけられたあたしは、都度でれでれして頷いていて。
「………」
"芹霞、赤ちゃん出来たよ、僕達の子だ"
"さっきね、僕のこと…『ママ』って呼んでくれたんだ"
「………」
はっ。
いかんいかん。
トリップしてしまった。
おかしな未来を思い浮かべてしまっていたあたしには、
「誰にも……
渡すものか……」
そんな玲くんの呟きは、耳に届いていなかった。