ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
守護石というものは、数ある石の中から本人が選ぶ。
俺が緋狭姉に引き取られた時、沢山の石の中からすぐに選んだのが太陽石だ。
俺の髪の色によく似てて、何だか俺っぽくて、そう――色だけで選んでしまったけれど。
名前を知った今となっては、俺が"太陽"を選んで、櫂が"血染め"の石を選んだなんて、本当に笑っちまう。
普通は逆だろう?
櫂が太陽を選んで、俺が血に染まって、そして玲は月となり…輝かしい太陽と表裏一体になる。
桜は黒曜石。
硬くて冷たい黒い石は、あいつの頑固さと非情さのようだ。
そんな守護石の話を持ち出して、緋狭姉は、あの女――藤姫のことを語った。
氷皇が電話で言っていたことは、大筋は本当らしい。
だけどあの女が100歳を超えているとは驚きだ。
しかも緋影だろ?
まあ、紫堂のような特殊な種だから、邪眼なんてけったいなものを操れるのかもしれねえ。
「8年前――」
緋狭姉が静かに語りだした。
櫂も玲もたまに8年前という単語を出すけど、俺にはよく判らねえ。
俺の理解してる8年前は、俺が緋狭姉にひきとられた時期だ。
即ち、緋狭姉が制裁者(アリス)をぶっ潰した時。
……何だか楽しい話ではなさそうだ。
俺の勘が、本能が――
聞いてはいけないと警鐘を響かせる。
だけどよ。
緋狭姉が俺の前で語ったということは、俺にも聞けということだ。
俺は緋狭姉には逆らえねえ。