ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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地上に出た時、突然明るい光が輝いた。


雲間から漏れた太陽の光。


近くに月の影がある。


これから重なろうとしているのか。


日蝕が――

これから始まろうとしているのか。



俺の胸の辺りに、得も知れぬ圧迫感が襲ってくる。


蹲りたいのを拒み、必死に体勢を保つ。



視界に入るは――

互いを貪り食らう、地獄絵図。



血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)が、共食いをしている。



蠱毒――か。



玲がやられたという呪詛。


しかし――それ程か?


俺の手の中には、玲の月長石はある。


次第に玲の結界力が、石を通じて強まっていることを感じられる。


玲の結界は現在有効だ。


だが、それにしても――。


生温すぎる。


この生温さに、玲がやられたというのか?


持病のあるなし関係なく、


何か――変だ。



そう思っていた時だ。


あたりが暗くなり始めたのは。


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