ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
俺の記憶にある、制裁者(アリス)の姿の煌は、尋常ではない程強かった。
嗜虐的な…残虐な、真紅な目をしていた。
BR002。
ブラッディ・ローズ計画とでもいうべきか。
生ける屍と制裁者(アリス)の融合が上手くいっていたら、2番目の強さを誇っていただろう煌。
だが当時は緋狭さん……紅皇の方が一枚も二枚も上手だったようだ。
その紅皇に、芹霞に手をかけた事実は無理矢理に封印され、制裁者(アリス)で培った技術は記憶の底に沈められた。
0からの再出発。
俺と同じ、過去を変えるべく、前を見つめる為に。
煌は真実を知らない。
知らせるつもりはない。
「……ありがとうございます」
俺は紅皇にこっそりと礼を述べた。
「何がだ?」
「……煌のことです」
それだけで判ったようだ。
緋狭さんは微かに笑うと、
くしゃりと俺の頭を撫でた。
その仕草は、彼女なりの愛情表現だろう。
昔からそれは変わらない。