ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「あんた相当…紫堂くんの存在というものに"麻痺"しているのね。
じゃあ、その周りの"愉快な仲間達"はどう思ってるのよ?」
「え? ワンコ? ゴスロリ? お嫁さん?」
「お嫁さん?」
「うん。紫堂の仕事はさておいて、家事は完璧、きれいで優しい女性の憧れ。それに玲くんは、あたしの節約の先生だし。
世間知らずの小娘が、あの傍若無人の姉と、野生のワンコと生きてこれたのは、偏(ひとえ)に玲くんのご教授によるものだし。
玲くんは女のカガミ、お嫁さんにするには№1!!」
弥生は眉間を指で摘むと、うんうん唸りだしてしまう。
「こう…触れられるとどきどきするような、考えるときゅぅっと胸が苦しくなるような、そんな存在はいないの?」
「んー……
いないね」
即答。
「この贅沢者ッ!! あんなにいい男がそろいも揃っているのに、何よその反応はッッ!!! 乙女じゃない……あんた絶対乙女じゃないわッ!!!」
「酷い…ピチピチの17歳なのに」
「その感性からしてあんたは枯れてるの!!
いい、芹霞。 あんたはやっぱり恋愛経験値あげなさい。
真実経路(ルート)1つしか開いてないみたいだから、今は伏線の虚構経路で十分。いい、絶対やるのよ、恋愛ゲーム!」
「や、弥生、目が怖いんですけど……」
弥生が、開いた携帯の中には、2次元の櫂が居る。
弥生が虚構の恋愛対象に選んだ相手だ。
「ようやく、紫堂くん笑ってくれるようになったのよ。ようやく」
――芹霞、芹霞!!!大変なの!!! 私の紫堂くんにお願いされちゃた!!
何だかんだと弥生もハマっているらしい。
それ程、面白いものなのだろうか。