ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



それにしても2次元の櫂も何と麗しいことか。

憂いある目元やさらさらの漆黒の髪など、たかが2次元と侮れない。


特徴を捉えてこれだけの美麗画(スチル)だが、それでも現実の櫂の方が余程美しいと思ってしまうのは、贔屓目だろうか。


このゲームには煌は登場しないらしいが、

煌の2次元も見てみたい気がした。


ワンコ絵?

美犬?


「弥生は何で櫂にしたの?」

「絵が好みだったから」


それだけか


友達の幼馴染は遠慮しようという…殊勝な感傷は持ち得ないらしい。

実際の櫂は未だ弥生の名前も覚えていない。


あんなに記憶力に優れているのに、

要するに…興味がなく覚えようとしない。


どうでもいいらしい。

その癖、やけに男友達の名前は覚えている。


1度でもあたしに声をかけてきた男は、ちゃんと覚えている。

それこそすぐ忘れていいものだと思うけれど。


男は中身よりも顔を公言する弥生。

どうして現実世界の櫂ではなく、滅多に会わない玲くんに興味を持つんだろう。


――私が大切にしたいのは、愛よりも友情だからね。


よく判らない。

だけれど――…

 
「その2次元の櫂に…"たかられて"るわけだ」



それが今池袋に居る理由。


ゲームで、唐突に…対象キャラが呟くらしい。


あれが欲しい、

あれをしたい…。


それを叶えれば、ゲームCLEARに必要な"好感度"がぐん上がるようになっているらしい。

そして好感度が上がれば、にっこり笑ってくれるらしい。


…弥生曰く。


弥生の櫂が笑うようになったというのなら、弥生はかなり虚構の櫂を甘やかしているのだろう。


虚構が呟くものを、現実に与えるなんて…アリなんだろうか。
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