ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「うん…」


玲くんは短く頷いた。

判っていると…言いたげに。


そして優しいその指で、

何度も何度もあたしの涙を拭うんだ。


途切れることのない、あたしの涙を。


「皆と居れる毎日が…

とても楽しかったの…」


「うん…」


どこまでも、玲くんの返事は簡潔で…優しく。


「あたしね…櫂が…泣いてばかりいたから、助けたかったの」


「……うん」



「でも――…」


あたしは、玲くんに笑った。

笑えていた…のか自信はないけれど。


「助けられていたのは…

あたしだったんだね?


櫂を必要としていたのは…

あたしの方だったんだね?」



――芹霞ちゃあああん!!



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