ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



やらかしてしまったことに今更言い訳はしねえ。


藤姫のせいだと言っても、

結局俺は…欲に負けたんだ。


夢だからと、

櫂を…落としこんだ。



――櫂、行けってんの、聞こえなかったのか?




しかも俺、あの後――…。


――煌…やっ…んんっ…。


………。


芹霞とのことはなかったことにしたくなくても、櫂とのことはなかったことにして欲しいなんて、そんなの…あまりにも自分勝手すぎることぐらい、俺だって判る。


だけど…誤解されままではいられたくねえ。


「櫂!!!!」



居たたまれねえんだよ。


だから――


「俺…お前が好きだから!!!!」



俺は叫んだんだ。


……ゾンビの中で。



「すげえ好きだから。

俺、マジだから!!!」



ゾンビの中で、ありったけの愛を叫んだ。


俺は愚鈍で、気の利いた台詞の1つも思い浮かべられねえ。

何をどうして、仲を修復出来るか判らねえ。


だったら、これしかねえだろ。

判って貰えるまで、叫び続けるしか。


「櫂、大好きだッッ!!!」



すると櫂は、こっちを向いて――




「は?」



凄く…戸惑った顔。

しかも…よろけているようで。


「……くっ!!!」


慌てて、緑の力で血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)を吹き飛ばした。




「櫂!!! 俺…俺…!!!

好きだから。

昔からお前のことが!!!


本当に――

大好きなんだ!!!!!」



――煌は昔から、櫂が大好きっ子だよね~。




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