ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


すると櫂が、やや…上擦った声で叫んだ。


「判った、判ったから…!!!」

「本当か、本当に判ったか?」


俺は猜疑心丸出し。

ここはきっちりさせておくべきだと思った。


「俺は櫂を嫌ってなんてねえし、憎んでもねえし。

本当に俺は櫂のこと…」


そう真剣に言ったのに、櫂がじりと足を退かせた。

遠ざかろうとする姿勢。


「だから、判った、お前の気持ちは判ったから!!!

恥ずかしいから、何も言うな!!」



恥ずかしい?

櫂が…恥ずかしい…?


俺と一緒に居るのが…恥ずかしい?



「違うって。煌の存在が恥ずかしいんじゃなくて、お前の台詞が恥ずかしいんだよ!!!」


しゅんとした俺に、訂正の声が放たれた。


「恥ずかしいって言ってもよ、周りは…言葉なんて理解しねえゾンビしか…」


「ゾンビでも何でも、恥ずかしいものは恥ずかしいんだ!!!

お前赤い顔して、急に変なこと叫ぶなよ!!!」


変ってなんだよ。


それに――


「赤い顔なら…櫂だって…」

「お前の方が赤い!!!」


………。


「でも櫂、お前耳まで…」

「お前だってそうだろ!!?」



「「………」」



そして俺達は――



「「あはははははは」」



爆笑した。

ゾンビを倒しながら。



俺は大きく息を吸って――


「櫂、本当にすま「何のことだ?」


"すまなかった"


言いたいことは判ってるのに、

櫂はそれを言わせなかった。


にやり。


そう笑う姿は、どことなく…

玲の確信犯的な笑みを彷彿させた。


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