ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「俺の押し付けだ。

合意じゃねえ…」


言ってて虚しくなる。

思わず顔を背けてしまったけれど。



「なあ……煌」



八つ当たりのように血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)を叩き切っている時、櫂の声がした。


割り込んできた血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)が邪魔で、櫂の姿は見えねえ。


「お前、芹霞が死んでいると判っても、まだ芹霞が好きか?」


う!?


「俺から奪いたいくらい、

芹霞が好きか? 


芹霞が8年前に…

命失くしていると知っても尚」



いきなり――

核心つくなよ、櫂。


「当たり前だ。

そんな程度の気持ちじゃねえ!!」



……って、つい衝動的に叫んだけど、言ってよかったのか?


俺、櫂との関係を悪くしてんじゃねえか?



「ははは」


櫂の笑いが聞こえてきた。


やば。


おかしくなっちまったか?

おかしくさせちまったか?



血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)の影で見えない櫂を心配していると、暴風と共に血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)の壁は無くなった。


櫂の力は健在だ。


そして見えたのは、深い翳りのある櫂の顔。


凛然とした、男としては羨ましい美貌。



「――…いくはずないか。

そう簡単には…」



何か言っていたようだが、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)がまた塞いで、この話題は此処で途切れてしまった。



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