ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
その優しい意地悪は…
「また…俺を飼ってくれるか?」
俺を…赦してくれたって、考えてもいいのか?
信じて…くれたってことか?
お前を裏切り、芹霞を奪おうとした俺を。
だけど――
「嫌だ」
拒絶され、浮いた心は沈みこんだ。
唇を噛み締めた時、櫂の声が聞こえた。
「俺は…大事な幼馴染を…
飼うつもりはない」
霧散する血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)。
偃月刀で切り裂かれる生ける屍。
互いに背を護りながら、櫂は言ったんだ。
「俺達は…対等だ」
――と。
やべえな。
本当にやべえよ。
「…煌、お前何泣いてるんだよ」
「うっせーな。泣いてなんかねえよ。汗だ、汗」
ゴシゴシ、手で…濡れた眼を擦る。
くっそー。
櫂は…なんていい男なんだろ。
俺、女だったら――
間違いなく櫂に惚れちまう。
惚れて…。
………。
――俺達は…対等だ。
………。
だったら尚更。
「櫂、俺…
芹霞とキスした」
フェアに行きてえんだよ、俺は。