ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~







「芹霞あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」




闇に覆われてしまった。




動かない。


目覚めない。



止まらぬ血潮。



俺の腕の中の体温は、急速に冷たくなっていく。




「還れ、還ってこいッッ!!!!」



呼べど揺すぶれど…

芹霞は動かない。



「芹霞ッッッ!!!!」



微塵も――動かない。




誰かが何かを言っている。




聞こえない。


俺の耳には何も聞こえない。



聞こえるのはただ…



――櫂、大好き……。



芹霞の声だけで。



俺は芹霞の身体を強く抱きしめ、



「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」



声を上げて泣くしか出来なかった。



芹霞……


俺は――


お前が好きなんだ。



俺を残して逝くなよ。



逝くなよ!!!!!




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