ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「黒の書の力は――藤姫の力は、私の力では抑えきれない。なぜならそれは闇属性のもので特殊だからだ。闇には闇しか対抗出来ぬ。
私もここまでの力を藤姫が蓄えていたとは気づいていなかった。
篠山亜利栖の隠秘的潜在能力が予想外に高かった上、それが藤姫の深遠な知識と結びついた効果…いわばこちらが予期しておらぬ"突然変異"が、新生藤姫の黒の書の力操作を難なくさせた。
その兆候に気づいていれば、他に手の打ちようがあったものを。
そして――今のままでは、坊の力は藤姫に及ばぬ。
芹霞は…無意識にしてもそれに気づいた」
緋狭様は、冷たくも思える面差しを私達に向けた。
「藤姫を倒すには1つしか方法がない。
坊に血染め石を直に使わせ、
この闇の力を操ること。
それはつまり――」
一旦言葉を切って、そして緋狭様は続けた。
「芹霞の中から取り出した、
血染め石の力を使うことに他ならぬ」
「はあ!!? 取り出すって……それによって生きている芹霞は、死んじまうってことじゃねえかよ!!?」
「……そうだ」
「そうだって、何がそうなんだよ、緋狭姉!!! あんたの妹が……俺の芹霞が、死んじまうんだぞ!!?」
煌は激しく憤っていた。
やり場のない怒りは、緋狭様に向かっている。
「止めろよ、紅皇なら止められるはずだろ!!?」
「……煌。闇の…藤姫の力は私では手出しが出来ぬのだ。お前、地下を見たのだろう。あの入り口でさえ、坊でなければ開けぬものだ」
「~~ッッッ!!!」
「芹霞が死ぬのは――
運命なのかも知れぬ」
死ぬ……?
――ねえねえ、桜ちゃん。
芹霞さんが…?