ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



他の誰かが言うのであれば、誰もが抗しただろう。


だけど発言主は紅皇だ。


紅皇が断言していることは、いつだって覆ることのない真実。


そう――絶対的なのだ。




「ああああああああッッ!!!」



煌は耐えきれないというように、空に向かって暫し絶叫した。


それは――

手負いの野獣の…

最期の咆吼のように。



「……行く。

俺は行くぜッッッ!!!」



褐色の瞳には…

凍り付く程の絶望の光。



「俺、言われたんだよ、芹霞に。

言ってくれたんだよ、芹霞が。


死ぬ時は一緒だってさ」



だけどその顔は。

野生的な…精悍な顔立ちのその顔は。



「俺が一緒に居れば……

闇でも怖くねえだろ?


あいつ…ああ見えて、結構恐がりだからさ。

俺、傍でついててやらなくちゃ」


これ以上ないという程の、芹霞さんへの愛しさに溢れて。


"覚悟"を決めた、"男"の顔。


「……駄目だ、煌。

お前まで妹に付き合うことは……」



その顔のまま、煌は笑った。


「こればっかりは…

幾ら緋狭姉相手でも…

俺、引けねえよ…」




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