ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


「煌!!!」


緋狭様が声を荒げたけれど、煌はただ笑うのみ。


それは――…

揺らぐことのない、確固たる意思の表れ。



「ありがとな、緋狭姉。

こんな俺をここまで育ててくれて。


やっぱ俺さ…"回復"覚えておきゃよかったわ」



そして、煌は私を見る。



「桜…――」



私は…次の言葉が紡がれる前に、叫んだ。



「誰が1人だけ行かせるよッッ!!?


てめえにだけいい格好させてたまるかッッ!!!」



私は――。


私だって、仲間だ。


同志だ。


そのはずなんだ――。


私だってずっと、芹霞さんを見てきた。


除け者にされる謂われはない。



「――って、

僕は置いていく気かよ。


僕は…お前達の上司だぞ?」



赤い光から――



「僕も…行く」



玲様が出てきたんだ。



「流石は紅皇ですね。回復力の速度は僕の比ではない。お陰様で何とか復活出来ました」


そう苦笑しながらの玲様は、

頬に確かな色味がついていて。


心臓は――

大丈夫のようだ。


ああ、玲様は本当に回復されたんだ。

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