ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


俺は――

芹霞によって、初めて人間になれる気がする。


失った人間の三大本能。

…お前といれば取り戻せる気がする。


睡眠も食欲も、そして性欲も。


俺はずっと…

お前に欲情してたんだ。


たとえ叶わなくても、お前を抱きたかった。

もっと深い処で繋がり独占したかった。


それが可能な――

お前の近くの男達が、羨ましくて仕方がなかった。



お前の為なら何でもしてやるよ。


お前の願いなら何でも叶えてやる。


それによって…俺の今までの存在理由を失ったとしても、俺はお前との未来を夢見てしまったから。


例えそれが…

憎い相手の命を護ることでも。


お前がそれを願うなら、どんなに血を流しても構わない。



頼ってくれ。


俺だけにしかできない命令…

してくれよ。




――櫂、大好き……。




ああ、それなのに。

何で俺を置いて逝くんだよ、芹霞。


俺の武器で、俺の目の前で。

どうして胸を穿ったんだよ、芹霞。


やはり…数日間の出会いだけでは、俺の存在は薄かったのか。


せめて紫堂櫂のような、共通の過去があれば。

お前は俺のものになっていただろうか。


お前は――

最期まで紫堂櫂のものなのか?




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