ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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20××年、8月――。


かつて駐屯地であった場所に、1つの骸が放置されていた。


それは叩きつけられ、裂かれ、切り刻まれ、焼け爛れ、焦げ付き……見るも無残に、原型を留めておらず、更には食い散らされたような凄惨な痕跡があった。


その周囲には、何千という血糊がついた服だけが残されていたという。


謎が謎を呼ぶそれは、世間を賑わせる異常気象ニュースの影に隠れ、そのまま闇に葬られた。


東京を襲った異常気象。

偶然複数のカメラが撮らえていた、沢山の竜巻。

多重渦竜巻と呼ばれるものの凄まじさに、震え上がった日本全国有志達は、全てに最優先にて積極的に中枢機構及び東京そのものの再建に尽力した。

また奇跡的に僅かな被害で留めたある財閥の献身的な資金援助もあって、崩壊寸前だった東京は脅威の速度で復興の兆しを見せた。


更にカメラは、奇怪な人型の化け物集団が彷徨する様も記録に残していたが、それは政府上層部によって公になることはなく、実際の目撃者に至っては災害恐怖から来る集団幻影だと説明づけられ、手厚い心のケアがなされた。


立ち消えてしまった御子神祭は、東京都が落ち着いたら、慰労の一環として再開催される見通しで、主事は以前同様、紫堂財閥であることは変わらない。



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