青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「じゃあ、あのメモや、ハットは………」

「あぁ、組織が用意した偽の証拠ってやつだ」

 ギリッと仙太は悔しさに奥歯を鳴らす。ずっと抱いていた妙な違和感の正体をこんな形で知ることになり、無性に腹が立った。

 クヲンに対してではなく、自分に対して……

「偽りとはいえ、それは空兎にとって希望の光になったわけだ。そして、保健室でのアレで決着がつくと踏んでいたが……計算が甘かったな」

 クヲンがそう告げた瞬間、空兎は全身が総毛立つのを感じた。

 クヲンの真意が知りたいのに、本当の気持ちを聞くのが怖い。

 怖すぎる。

 怖すぎて、震えが止まらない。

 空兎は震える指で、自らの渇いた唇に触れる。

 あの時の甘い感触が儚く消えていきそうで………

 空兎は震えが止まらなかった。


 そんな空兎の異変に気付いた仙太だが、声が掛けられない。

 クヲンの言った「保健室のアレ」がわからないので、何と言えばいいのかわからなかった。


 二人の様子を見ていたクヲンだが、逸らして空を仰ぐ。雨が少し強くなってきたが、屋上にいる全員がそれを気にする素振りはない。

 クヲンは雨に濡れた銀の前髪を頭(かぶり)を振って、払い、頃合いを見てから続きを話し始めた。

「だから追加イベントが必要だった。それが仙太、お前だよ」

「じゃあ、あの襲撃って……」

「………お前はこの時のための予備として残しておいたんだ。本当なら最初の襲撃で俺が掴み損なって、お前が行方不明になるシナリオだったんだが、空兎がお前を掴んでしまったんでシナリオが狂ってしまった」

 それを聞いた瞬間、仙太の脳裏にあの時の事が甦る。

(あの時は僕も………)

 空兎がクヲンに腕を絡ませたのを見て、仙太自身が躊躇っていた。

 しかも、空兎が仙太を掴んだときのクヲンが咄嗟に言った言葉………

 もし、不都合ならば決して出ないのではないかと、仙太は思った。

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