青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 その様を見て、灰山が饒舌に語るクヲンを内心で嘲笑した。

(最初から全てわかってた風に言いやがって……お前だって、それがわかったのは実際に“鍵”が手に入った後だろうが)

 灰山は胸ポケットからタバコの箱を取り出し、一本を口にくわえる。火は付けずに黙って事の成り行きを見守っていく。

 クヲンが真相の続きを話す。

「けど、“鍵”を手に入れても、この状態にしなきゃ意味がない」

 クヲンは鍵の柄の部分の輪っかに人差し指を通して回してみせる。蒼い円の残像が仙太の目に映る。俯いている空兎には声しか届かない。

「そのためにも、やっぱり“光”が必要だった。けど、ただ空兎が一緒にいるだけじゃ成果は然程ない。どんなに美味い料理もいつも同じ味だと飽きるように、たまに不味いもんを食わないと、美味さを感じない。……舌が肥えるってやつだな。だから、空兎を悲しませるイベントを起こす必要があったんだよ」

「!……じゃあ、まさか……!」

 仙太の声が震え、空兎の顔色が青くなる。

「……“本”の紛失、セレビア=J=ダルク及び緋上ジョーの行方不明には組織………俺が関わっている」

「じゃあ、マリィさんが言ってた君の特殊任務って……」

「……そんなことをアイツから聞いたのか。あぁ、“鍵(これ)”の成長を促し、回収することだ」

 回転を止めて“鍵”をズボンのポケットにしまう。

「“本”はセレビアが封印を解いたところを俺が奪った。……彼女をバトルで倒してな。“本”がなくなったことと、セレビアと音信不通になったことで、お前は彼女に対して疑心を抱くようになった」

「…………」

 空兎に返す言葉はなかった。クヲンの言ったことが図星だったからだ。

「そして次に緋上ジョーの襲撃。憧れのヒーローが傷つき倒れる姿を目の当たりにして、お前は絶望する。……そして次に俺の出番だ」

「特殊任務ってやつかい?」

「あぁ、散策と銘打って、セレビアが犯人ではないという手掛かりと、ジョーが無事という手掛かりという希望を空兎に与えた。ひいては、“鍵”に極上の餌をやって、本当の鍵の形としての成長を促したことになる」

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