青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「こらーーーーーーーっ!!」

 目が覚めるような空兎の叫びに、男二人の目が彼女に集まる。それから彼女はクヲンに対して人差し指を突きつけた。

「クヲンくん! さっきから黙って聞いてれば、何!? 本来の目的忘れてんじゃないの!? え? 言ってみなさい!」

「え、あ、そんなことは……」

 そんなことはない、そう応えようとした矢先。

「シャラーーーーーーップ!! 言い訳しないっ!!」

「は……?」

 空兎の理不尽な物言いにクヲンは絶句してしまう。二人の間に挟まれて仙太は「また無茶苦茶なことを……」と嘆いた。

「いい? クヲンくんはマリィを助けるためにこんなことしてるんでしょ? だったらアタシ達に遠慮なんかしてちゃマリィがヤバイんじゃない?」

「…………!」

「本当に大好きな人を助けるためなら、迷ってちゃダメだよ!!」

 ズバッとつき刺さる空兎の言葉にクヲンは思う。

 やっぱ、こいつすげぇ、と。

 “鬼ごっこ”なのに、立ち向かってくる。

 特別な力のない普通の人間なのに。

いや―――

 だからこそ、空兎は常に全力なのだろう、本気なのだろうと、クヲンは思う。

(だから、俺にも本気で来いってか……)

 たとえそれで倒れても、彼女は絶対立ち上がって、向かってくるだろう、或いは走り出すだろう。

 クヲンが知る天羽空兎は、そういう奴だ。


 だから惹かれる。


 愛情に近い、好意の意味で。
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