− 夏色模様 −




だから……。


「普通の女の子だよ」


「そうなんですか」


簡単には、まおの情報を与えない。


「まおと前田くんって本当に仲がいいから」


「知っています」


だったら早く諦めた方がいいよ?


「でも、あの二人は“――― 付き合っていない”んですよね?」


「――― ッッ」


痛いところを付くな、西村くん。

確かに二人は付き合っていない。 雰囲気は“恋人同士”なんだけどな。


「だったら俺にも“チャンス”――― ありますよねっ」


何、これっ。 前田くんに宣戦布告?

それも、西村くんの余裕そうなその表情があたしの不安を煽る。


「俺、妥協とか……。 しませんから」


どうして、そんなに余裕なの?

学年の女子や男子だってまおと前田くんの雰囲気に自分たちが入り込む隙間が無いってわかるから、一切手をださないのに……。




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