腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?
――ゴトンゴトン、揺れる電車の中、純は数分前の泉流の言葉を思い出す。


『もし痴漢が現れたら合図するから、君が犯人を捕まえて駅員に突き出すんだよ?』

『うええ!?そんな恥ずかしいこと出来ませんよ!』

『じゃあ君が痴漢される側と代わる?』

『うぐ』

『まあ、その幼稚体型じゃ数年待っても相手にされないだろうけどね』

『分かりました!やりゃあいいんでしょ!やりゃあ!!』


こんちきしょう!いつか絶対殺す!!



……こうして今に至る。

ハァと溜め息を吐いて隣を見ると、そこには凛として立つ美女が……いや、天宮さんがいた。うん、確かに自分には無理だ。わたしが犯人だったら断然こっちがいい。


(……自分で言ってて虚しいぞこれ)


再び深い息を吐く純。その時であった。


(!)


背後からそっと近づく男の影。まさかと思い天宮さんに目配せすると、彼は「まだ待て」と小声で言ってきた。

現行犯で捕まえなければ意味がない、と続けて。


(て言ったって、いつ合図が……)


尻か?彼の尻が触られるとこ確認したらか?むしろ一生触らせてやりたい気もするが。
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