レクイエム<鎮魂歌>
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初めに私が見た物は灰色の綺麗な糸。
とても綺麗で、私の髪の色とは大違い。
私のように質素は薄いのに、しっかりした色をもっているのがとても羨ましくて、手を伸ばした。
届いたなら自分もその色に染まれるような気がしたから……。
「――――い…ったぁ。」
ガシリと糸を掴んだ瞬間声が聞こえた。
そして目の前にあった糸が離れていく。
だがそれを私はぼんやりと見つめていた。
手はいつの間にか糸から離れていた。どうやら指の間をすり抜けてしまったようだ。
「―――あれ?目が覚めた?」
先ほども聞こえたような声がしてハッとする。
「―――え?」
自分の置かれている状況を知り、戸惑った。
なぜか自分はベッドに寝ており、枕元には知らない青年がいた。
どうやら私が糸だと思って掴んだ物は彼の髪の毛だったようだ。
なにやらよく回らない頭を押さえながら、片手をついて座位の体制になろうとすると青年が手を貸してくれた。
そしてなぜ、寝ていた私の目の前に青年の髪の毛があったのかを問う。
「ああ、ゴメン。あまりにも日差しが気持ちよくて、ついつい寝てしまったみたいだ。」
そう言って床に落としていた本を広い上げ、ポンポンとはたく。寝てしまった時にでも落としたのだろう。
「別に大丈夫よ?兄さんはもっと酷いもの。」
「兄さん?」
「そうよ。私のに――」
――そういえば、兄さんは…。
そして思い出した。
「――行かなきゃ。」
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初めに私が見た物は灰色の綺麗な糸。
とても綺麗で、私の髪の色とは大違い。
私のように質素は薄いのに、しっかりした色をもっているのがとても羨ましくて、手を伸ばした。
届いたなら自分もその色に染まれるような気がしたから……。
「――――い…ったぁ。」
ガシリと糸を掴んだ瞬間声が聞こえた。
そして目の前にあった糸が離れていく。
だがそれを私はぼんやりと見つめていた。
手はいつの間にか糸から離れていた。どうやら指の間をすり抜けてしまったようだ。
「―――あれ?目が覚めた?」
先ほども聞こえたような声がしてハッとする。
「―――え?」
自分の置かれている状況を知り、戸惑った。
なぜか自分はベッドに寝ており、枕元には知らない青年がいた。
どうやら私が糸だと思って掴んだ物は彼の髪の毛だったようだ。
なにやらよく回らない頭を押さえながら、片手をついて座位の体制になろうとすると青年が手を貸してくれた。
そしてなぜ、寝ていた私の目の前に青年の髪の毛があったのかを問う。
「ああ、ゴメン。あまりにも日差しが気持ちよくて、ついつい寝てしまったみたいだ。」
そう言って床に落としていた本を広い上げ、ポンポンとはたく。寝てしまった時にでも落としたのだろう。
「別に大丈夫よ?兄さんはもっと酷いもの。」
「兄さん?」
「そうよ。私のに――」
――そういえば、兄さんは…。
そして思い出した。
「――行かなきゃ。」