=寝ても覚めても=【完】

もうどうにでもして下さい。いえこの胸の高鳴りを治めてもらえるのなら、何でもします。




物欲しげに見上げ目を合わせたら、相手は初めて見たときのようにニコリと笑った。


『冗談は、通じる?』

『え...』

『それただの栄養剤。催淫剤っていうの、嘘♪』


仁科は邪気もなく手を叩いて喜んでいる主を、ただ茫然と眺めた。


『あはは、素直なんだなぁ。酒だと言ったら君は水でも酔えるぞ』

『・・・は?』


ではなんだ、この熱さは?動悸は?


『緊張してるみたいだからちょっとからかっただけ。どう?緊張取れた?』


そんなの認められない。

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