4人の嵐


その日の夜



夢を見た。









最初は竜さんが出てきた



いつもの照れ笑いを浮かべていて


そうかと思えば皆にからかわれて赤面している。


急にこちらを見た竜さんは苦しそうな表情を浮かべていて。


『那子ちゃん


………俺ね――――』






何を言ったかは聞こえなくて。






気付けばいつの間にか場面は変わってしまっていた。


竜さんをからかって悪戯に笑う、一さん。


『竜ってばどんくせー!』


一さん竜さんからかってる時目がキラキラしてるっ。





『竜は――――』




大事だと思う所だけ、どうしても聞こえない。


そして一さんの顔が見る見る変わって……




皆を優しく見守る真人さんの顔に。



『俺はお前等のお父さんか!』


お父さんだって…ププッ



『那子ちゃんてさ―――』


…まただ。




夢の時間の流れ方は曖昧で、どのくらい時間がたったのかは分からないけど、目の前に広がるのは胸板だった。





「っっ!?」


『那子が1番落ち着く』


永樹のヤローか!!


『揉んでいい?』


ごめんなさいごめんなさい!
呼び捨てしてごめんなさい!

だからそれだけは勘弁です!




私があたふたしていると、急にじっと私を見つめる永樹さん。

『―――だ』








さっきから皆様…
何言ってるか聞こえないんですってば。




………なんて



全てが腑に落ちない、おかしな夢を見た。






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