神隠し
仲間の声が聞こえた。

どうやら1番目に行ったペアが戻って来たらしい。

「あっ、いっけない! そっそれじゃあお菓子、どれが良い?」

慌ててカバンの中を開けて見せるも、2人は仲間を見ている。

―ねぇ、おねーさん。他の人にも会わせてよ。

「えっ? 何で?」

―お菓子、もっと欲しいから!

…輝かんばかりの笑顔で言われても…。

「会わせるのは良いけど…くれるとは限らないわよ?」

正直言って、まだ精神的に幼い人達ばかりだ。

悪い人ではないのだけど…好奇心が強いと言うか…。

―良いから。早く行こうよ。

ぐいっと手を掴まれ、引かれた。

「わっ分かったわよ」

でも…その手はとても冷たかった。
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