神隠し
だから奥へ、奥へ、足を進める。

だんだん暗さが濃くなっていく。

だけど耳に、ふと話し声が聞こえた。

それは先に歩いていた2人の耳にも届いていたらしく、2人は慌てて声のした方へ向かった。

少し怒りながら走っていく2人の後ろ姿を見ながら、アタシは何故か追いかけようという気にはなれなかった。

だって…あの声は、4人の声じゃなかったから…。

そして奥の方からは、2人の足音が途絶えた。

息を飲みながら、アタシは歩いた。

このまま歩いていけば、行き止まりだ。だから右手の廊下に進むしかない。

けれどそこは台所となっていて、誰もいなかった…。

ああ、やっぱり…。

辺りを見回してみたけれど、誰かが隠れていたり、ここにいた形跡は何も無い。
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