神隠し
…そう語る少年の声は、少し沈んでいた。

彼等のことを、少なからず心配しているからだろう。

やがて、日の光が差し込んできた。

出口が近いんだろう。

アタシはぼんやりしながら、2人の少年を見た。

アタシの目の前にいる、2人の少年。

彼等のアタシの手を掴む小さな手は、とても冷たかった。

まるで…生きていない人間の手のように。

その後は3人とも無言で歩き進む。

時折、いろんな所から人の声や物音が聞こえてくる。

…楽しそうだ。

それだけが、彼等の唯一の救いなのかもしれない。

例え一生、この屋敷から出られずとも、彼等には心から笑い合える仲間がいるのだから…。

アタシと違って。
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