神隠し
―ほら、行くぞ。

けれど無愛想な男の子に手を引かれ、再び気を戻す。

…だけどあの襖の向こうの光景は変わらない。

そして…気付いてしまった。

あの屍達の中には、現代の者と思しき服装や髪型をしているモノもいた。

きっと、彼等に引きずり込まれてしまったのだろう…。

その肌は真っ白で、顔色もすでに生きた人間のそれではなかった。

屍達の宴―終わり無き悪夢だ。

2人の少年が再び歩き出したので、アタシも足を動かした。

「彼等は…もう戻れないの?」

―ムリだな。ああなってしまったのは、自業自得だ。

―それに『戻る』と言うより、『行く』ことができないと言った方が正しいかもね。…もっともあの人達、自分がどこに『行く』のかも分かっていないみたいだけど。
< 26 / 35 >

この作品をシェア

pagetop