忘却の勇者

彼に指を向け説明するコーズだが、二の句は途切れその少年を凝視する。


マリも視線と指の先を追うと、目を見開いて驚きのあまり口を開けた。


「なんだオレオも」


「オレオー!」


コーズの言葉を遮断したのは、歓喜の大声を上げながらオレオに向かって駆け出すマリ。


いきなり自分の名を呼ばれビクッと肩を震わせたオレオは、後ろを振り向くより先に、マリによってその小さな身体を背中から抱きかかえられた。


「マ、マリさん?」


「凄い! まさかオレオと再開できるなんて奇跡? それとも運命? なににしたってやっぱり凄いわ!」


突然の出来事に動揺する。


なんでマリさんがここに? ジャンケの街にいるはずなんじゃ?


疑問が疑問を呼び、頭の仲をグルグルと駆け回る。


じゃれ合う二人を傍目で見守るコーズは、つまらなそうに小さく舌打ち。
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