忘却の勇者
手にした銃の質量は半分になり、もはやその機能を失っている。
視界の端でとらえた黒刀の柄が、ケイの腹部に襲いかかる。
突然の奇襲に膝をつき、腰のホルダーに用意してあるもう一丁の銃を取ろうとしたが、手が触れた瞬間身体が硬直した。
「き、さま……」
エクターの時魔法が、ケイの動きを封じた。
「すみません。罰は全て終わったら受けます」
ケイを見下ろすエクターの瞳は、どことなく憂いを帯びている。
ケイのことだ。軍議違反を犯したエクターを罰することなどしないだろう。
彼もそれをわかっていたから、余計に罪悪感が胸を締め付けた。
オレオは一瞥して黒刀を鞘に戻す。
言葉はない。
自分はケイにとって敵なのだ。手を出した今、情けをかけるのは相手に対する最大の屈辱だ。