忘却の勇者
すれ違いざまに魔物を浄化していくオレオ。
もはや魔物の襲撃など、時間稼ぎにもなりはしない。
階層が上がるにつれて、魔物の襲撃が減って来る。
どうやら賢い魔物は気付いたのだろう。
勇者が手にしている武器の正体と効力を。
オレオにとっては好都合だ。
力のある魔物は総じて知恵もある。
つまり強い魔物ほど賢いというわけだ。
賢い魔物は自ら死に急ぐ真似はしない。
結果的にオレオに襲いかかって来るのは弱い魔物だけになり、より効率的に最上階まで辿りつける。
魔物を倒しながら駆け上がったせいか、時間の感覚はマヒしている。
一時間か。もしくはそれ以上か。意外に数十分かもしれない。