かさの向こうに縁あり
――賑やかな通りに出る。


相変わらず、街の人の視線はあちこちから刺さってくる。

それでも私は気にせずに歩き続けた。

だって、生粋の日本人なんだから。



あれから――

原田さんに、女の人がいるかどうかを聞いてから。


偶然にも、屯所である西本願寺とかいうお寺に仕える女性がいたから、私は着物に着替えさせてもらった。

そう、自分で着替えられないなら、人を呼ぶっていう策!


面倒なことが何より嫌いな私。

自分で試行錯誤しながら着替えるなんて、端から考えなかったわけで。



そして今。

平助が丁寧に書いてくれた地図を頼りに、私は確実に目的地に向かっている。


まだ見慣れない世界の中で、一人浮いている私。

何でこんな時代に……



「――あれ、妃依ちゃん?」



ぼーっとしながら歩いていると、正面からそう声をかけられた。

はっとして声がした方を見る。



「あ、やっぱり妃依ちゃんだ!」



そう言って満面の笑みを浮かべ、一人の女性がこちらに駆け寄ってくる。


……苑さんだ!



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