かさの向こうに縁あり
そんなことを考えつつも、じっと男性を見つめる。

今日はこれまでの夢より、目鼻立ちから細かい部分まで、男性の顔が鮮明に見える。


そこでふと思った。



ーーああ、この男性、平助に似てる。



見覚えがあるな、と思ったことは、これまで顔がはっきり見えなかったからなかった。

けれど男性の声は聞き覚えがあって。

声も顔も、平助にそっくりな人のものだったんだ。


そう思ってもなお、本人かどうかは定かではないのだけれど。

でもそれでも、この声音や優しさは、きっと彼のものだと思える唯一の証だ。


そっと手を握られる。

優しい仕草は、確かに平助らしい振る舞いなのではないだろうか。


そして、ゆっくりと口を開いた。



『僕といて、幸せだった……?』



唐突な質問に、中の私は目を見開こうとした。

でも、もうこの体にはそんな余力すらなくなっていて、何も反応できない。


なんだか空しい。

表情が堅くなっていく気がして。


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