かさの向こうに縁あり
「そりゃあ一応、親なんだし」


「いつも冷たいわねー」


「仕方ないじゃん」



私の家庭は結構、複雑。


本当の父は、数年前に母と離婚してしまったのだ。

今の父は母の再婚相手で、去年、結婚をした。


お互いバツイチだからなのか、わずか一年半の交際でゴールイン……なんて話は、今の私にはどうでもよく思える。


ただ1つ文句を言いたいのは、名字のこと。

母が離婚する前は高野、今の父と結婚するまで、つまり母の旧姓は北村。


名字が二度も変わったことももちろん不満。

でもそれよりも、平仮名では一字減ったのに、画数が増えたということが、いまいち気にくわない。



『今日は夕立があるかもしれませんので、お出かけの際は大きめの傘を持って行った方が良さそうです……』



テレビではニュースが一旦終わり、天気予報も終わろうとしていた。


窓越しに空を見ると、雨が降りそうな気配のない空が広がっている。

夕立の時間までどうせ学校にいないし、折りたたみ傘でちょうどかな。


そのぐらいにしか私は気にしなかった。



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