君はガラスの靴を置いていく
5組に戻ると丁度始めから上映するところらしくて、急いで中に入った。
中はもちろん真っ暗で中央と壁側に椅子が並べてある。客の入りが悪いって思ってたけど大人には好評みたいで先生達も密かに見に来ていた。
『ここでいいよね?』
俺達は一番後ろの席に座った。
『本当に真っ暗だね……』
『怖い?』
『ううん、平気』
そういえば自分のクラスの出し物なのに上映してるところ見た事ないや。テスト上映の時も女子に任せっきりだったし俺は適当に雑用してただけ。
『では、上映始めます。星の説明をしながらやるので少しでも覚えて帰ってくださいね』
クラスメイトの仕事っぷりに感心しつつ、上映機のスイッチを入れると教室中に張ったスクリーンに星空が浮かび上がった。
一瞬で宇宙空間にいるような感覚になってちょっとびっくりした。普通にクオリティ高いし、プラネタリウムなんて…となめてた事を反省した。
『すごい……』
隣で千花が天井を見上げて感動していた。
この横顔は見覚えがある。確か一緒に花火を見に行った時も同じような顔してたっけ。
あの日は千花の誕生日で千花が彼女になった日。
あの時は俺が追いかける側になるなんて想像もしてなかった。