君はガラスの靴を置いていく



体育館の中はカーテンが閉められ薄暗かった。
メインのステージが映えるようにライトの演出も完璧だ。


『つーか人やばくね?』

校内の客が流れただけあって体育館は人で溢れていた。一応パイプ椅子も用意されてあるけど座ってるのは大人だけで、生徒はほとんどステージ周辺に群がっている。


『あ、みや達じゃん』

人が多い前の方は避けてステージから遠めの場所に落ち着くと壁にもたれる明日香を見つけた。


『あれ、1人?』

『うーん、いとりんと合流したいんだけど見つからなくて。なんかここ電波悪いしさー』


つまり千花は1人でいるって事か。

多分先輩の演奏の為に前に行ってそうだし、今からじゃあの人混みの中に入るのは無理だな……


『まどか先輩達のはいつ?』

『えーっと、次の次』

増田は前に行きたそうだけど道連れはまるに任せよう。俺はこういう空間自体苦手だし。


『明日香は前に行かないの?』

普通なら増田とテンション上がって意気投合してそうなのに。


『うーん別にお目当ての人居ないし。ってか他校の元カレに会っちゃってちょっと今ブルーなの』

だから大人しいのか。 


『みやは最近どうなの?』

『どうもなってないから俺もブルー』


最近千花とよく一緒に居るけど豊津先輩の話とか聞いたりしてんのかな?明日香は恋話大好物だし色々聞き出してそうだけど………




< 225 / 300 >

この作品をシェア

pagetop