君はガラスの靴を置いていく



千花はカバンからノートとペンを取り出して、
いつものように勉強し始めた。

俺も合わせるように本を開いたけど最初の一行の漢字がさっそく読めなくて断念。パラパラっとページをめくってみたけど文字は小さいし挿し絵だけ見て閉じてしまった。

こんなのよく読む気になれるよな………

漫画とかだったら何時間でもいけるんだけど。


『千花ってさ、卒業したら看護学校に行くの?』

『うん。場所はまだ決めてないけど良さそうな所があったら例え遠くても行くつもり』

『ふーん……』


千花は元々しっかりしてるけど将来の事決めてるってやっぱりすげーな。


『なんで看護師になりたいって思ったの?』

『……小さい頃テレビで見て素敵だなって。私もあんな風に働きたいって思ったのが最初かな』


俺も昔は警察官になりたいとか消防士になりたいとか言ってたし小学校の卒アルにも将来の夢で書いてた気がする。

一応、純粋な青少年だったけどいつの間にかこんな感じになってた。


豊津先輩は医者で、千花は看護師。

「じゃぁ、同じ病院で働けるじゃん!」なんて冗談でも今は言えない。



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