君はガラスの靴を置いていく





でもそんな思いとは裏腹になかなか糸井千花には
たどり着けなかった。



『なんで今日に限って移動教室ばっかりなんだよ』


1時限目から3時限目までがあっという間に終わってしまった。しかも次は体育だし。



『今日は水曜だからねー。体育サッカーだって。
こんなに暑いのに』


『まじ?俺、保健室で寝るわ。朝から明日香のせいで体力使ったし』


こんな糞暑い中、サッカーとか無理。

まるは体育が好きだから暑いと言いながらも外に出ていった。




『先生。頭痛いから寝かせて………って居ないじゃん』


保健室に行くと先生の姿はなく、せっかく具合悪いふりして入ったのに。


俺は空いているベッドに横になり目隠しのカーテンを半分閉めた。


この消毒の匂いとかトラウマになりそうな虫歯のポスターとか、割りと嫌いじゃない。

むしろ学校では好きな場所と言ってもいい。ここはエアコンも付いてるし。


そんな事を思っていると、まぶたが自然と重くなった。



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