君はガラスの靴を置いていく





『あ、“いとりん”おはよう!』



そんな中、明日香はすれ違った一人の女子に声をかけた。


『おはよう。明日香ちゃん』


小さな返事が俺の耳に返ってきた。すれ違ったのはたったの1秒で俺はチャリを漕ぐのに必死だった。



『あの子ねー、最近友達になった“いとりん”。
可愛いでしょ?』


『顔なんて見てねーよ』


『私的に黒髪の友達ってレアじゃない?いとりん頭もいいし生徒会にも入ってるんだよ』



明日香はマイペースで基本自分中心。これも別れた原因の一つ。




『千の花と書いて千花。名前も可愛いよね』


--------------キキキーッッ!!

それを聞いた俺は思わずブレーキをかけた。



『痛っ。なになにどうしたの?』


明日香は俺の背中におでこをぶつけたらしく額を押さえている。



『もしかしてさっきのが糸井千花?』


千の花と書いて千花なんて名前、珍しいから同じ人は居ないはず。



『うん、そうだよ?それがどうかした?』


やっぱり。いとりんなんて変なあだ名付けるから気付かなかったし。

そう言えばこいつも2組だったっけ。

戻って顔見とく?いやいや、学校に行けばすぐに見れるか。


俺はとりあえず再びチャリを漕ぎ始めた。



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