年上の男
す、凄く緊張する。
「狭くてごめんね」
「あ、いえ・・・軽自動車なんですね」
「うん。通勤に使うだけだし、税金安いしね」
ちょっと悪戯っぽく笑う。
そんな顔も・・・ツボだ。
「でも、びっくりしました」
「俺も・・・」
あ、『俺』になってる。
「まさか、あそこで運命って言われると思わなかった」
「え!?」
そっち!?
「で?今回も運命ですか?」
ニヤニヤしながら聞かないで欲しい。
顔から火がでるほど恥ずかしい。
「・・ぐ・・」
「ぐ?」
「偶然が重なると・・・運命と呼ぶらしいです」
私の言葉に目を見開いて・・・・
「ああ・・・そう・・・」
と、言った後、「あははは」と、大笑いした。
「何がおかしいんですか?」
大真面目に言ったのに。
「初めてそんなこと言われたからさ・・・フフッ」
も~。矢崎さんも遥も馬鹿にするんだから~。
笑われてるうちに、家に着いてしまった。
「ありがとうございました!」
もう、やけくそ。
「どういたしまして」
ずっとニヤニヤしてるし・・・・。
「ニヤニヤしないでください」
「ああ・・・ごめんごめん・・フッ」
・・・笑ってるじゃん・・・。
なんだか複雑な思いで車を降りて、見えなくなるまで見送った。