年上の男
「柊子ちゃん、どうした?」
「あ、おじさん」
すると矢崎さんが
「あ、N会社に勤務してます矢崎と申します」
おじさんに名詞を渡した。
「矢崎さん?」
おじさんは矢崎さんの名前を確認する。
「はい」
「柊子ちゃんとは、どういう関係で?」
関係なんて・・・特別ないけど・・・。
「先日蜂の巣をとりに伺いまして、そのときに知り合ったのですが、これから帰るということなので、送ろうかと思いまして声を掛けたんですけど」
矢崎さんの言葉におじさんはにっこり微笑んだ。
「N会社の人なら安心だ。送ってもらいな、柊子ちゃん」
「え?」
「社長とは古くからの付き合いでね。大丈夫、ちゃんと送ってくれるよ」
「う、うん」
おじさんはそう言うと、また店の中に入っていってしまった。
・・・いいのか?
「じゃ、乗って」
矢崎さんに言われ、ちょっと遠慮がちに車に乗る。