雪月花~死生の屋敷
私を殺す事が出来る悪い霊魂の居る屋敷。その場所に行く事に恐怖を感じないわけがない。

でも私は色武の言った通り、雪月花に行く決意を決めていた。孝也が私に言いたい事。

それに私自身、孝也に伝えたい事があるから。

「はい。それでも私は雪月花に向かいます…それが孝也の願いで、私の願いでもあるから。きっと行かないと後悔をする」

「そうでしょう。必ず後悔をするはずです…時に人の人生とは残酷なものです。ですが、どんな結末が待っていようと、成海さんは前に進むべきです。迷ってはいけません…決して迷わず、前に進み続けて下さい」

何かを私に諭そうとしている様にしか聞こえない色武の話し方。そういえば今まで気にしていなかったけど…。

「色武さんはなぜこの場所に居るのですか?」

最初に聞くべきだった最重要事項。色武はなぜ、この場所に居るのか…。

私と同じように、誰かに導かれて、この場所に来たのか。

「…内緒にございます」

「内緒…?」

「はい。内緒にございます」

面と向かって内緒と言われてしまうと、これ以上追及は出来ない。多少気にはなるけど、あまり気にしない様にしよう。

「そうだ…内緒の代わりに、これをお渡ししときましょう」

色武はそう言うと、何も書かれていない札を取り出した。

「これは『断』と言う札です。これは万が一悪い霊魂に襲われた時に役に立つかと思います。」

色武はその札を私に手渡すと、札の使い方を説明しだした。
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