ノイズ
母親が従姉妹同士であり、幼い頃から兄妹のように育ってきた二人だ。


文也のことは食べ物の好みは勿論、初恋の相手に至るまで全部知っている。


しかし、この‘秘密’だけは文也に話す訳にはいかない。


文也だって本当のことを知ったら、あたしから離れていくに決まってる。


人間は異質な物を排除する残酷な生き物だから。


ある意味そうすることによって、‘群れ’の安全が守られ結束も自然と固くなっていく。


常に優先されるのは多数の‘群れ’の安全であって、少数の‘個体’は隅に追いやられ、やがては消えていく運命にあるのかもしれない。


「ほらっ、早く学校行かないと遅れるよ!」



文也がまだ何か言いたそうな顔をして可奈の顔を見ている。


それには構わず、可奈は自転車を勢いよく走らせた。
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