ノイズ
夕べ訪ねた佐々木のマンション付近で、確かに可奈は沙織の姿を見ていた。


ほんの一瞬ではあったが、東邦学園の制服を着ていたし、全体の雰囲気からして沙織に間違いないだろう。



親とのケンカが原因の家出ならまだいいけれど。



沙織の失踪にはきっと何かある。



それは〈自殺シンドローム〉あるいは〈死のサイト〉に関連があるのではないか。


脳裏にさっきトイレで遭遇した少女が浮かんだ。


裕美を含めた小学校のクラスメート達とこっくりさんをやってから、もう五年は経っている。


あれから一度も現れていなかったのに、なぜ今頃になって自分の前に姿を見せたのだろう。



ぞくり。



急に悪寒が走り、思わず両手で自分自身を抱きしめる。


じわりじわりと闇に侵食されつつ、得体の知れない何かに絡め取られるような気持ち悪さを感じていた。

< 222 / 309 >

この作品をシェア

pagetop