ノイズ
可奈は廊下の真ん中で立ち止まると、ぐるりと首を回して辺りを見た。


ここは学校の廊下であり、遮る物など何もない。


前後左右を何度も隈なく確認してみたが、少女の姿は全く見えない。


だが、不気味な闇の気配は確かに感じていた。



いる。



あの子はいる。



この広い廊下の何処かに…………



少女が何処に潜んでいるかはわからないが、今この廊下にいるのは可奈と文也の二人だけだ。


姿は自分にしか見えないかも知れないが、あの<こっくりさん>の時のように襲ってくるかも知れない。


霊感があると言っても見えるだけで、祓ったり何か対処出来る訳ではないのだ。


今ほど何の役にも立たない、中途半端な霊感を持ったことを恨めしく思ったことはなかった。

< 223 / 309 >

この作品をシェア

pagetop