賢者と僕
 「ふーん、ふーん♪」
音楽がかすかに耳に聞こえる、ひどい音楽だ。
 
「ふふふーんふーん♪」
誰かが近くで歌っているようだ。

     「ふふーんふふーん♪ふふーん♪」


目が開き、本を手でゆっくりどかした。音楽も何故か同時に止まった。ベンチに寝ている僕の隣にあるテーブルの奥にあるベンチにどうやら人がいるらしい。僕の睡眠を邪魔する奴は誰だ?

ゆっくりと背中を上にあげる。


その時、僕の目に急に物体が映った。殺人鬼のいかれた顔しながら口を大きく開き、


「ニターー。」

いかれた野郎の顔がいた。それも十センチ以内の近さで極上の笑顔でだ。当然僕は、


「うわっぁぁぁぁ。」


軽く叫びながらベンチから落ちた。
テニスを楽しそうにする学生の声が響いていた。




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