an alley cat
―ここはどこ?





起き上がった場所は、何もない、ただ真っ白な場所。




―あぁ、私死んじゃったのかな?




どこへ行っても、どこを見渡しても真っ白な世界。




―天国?


―それとも・・・地獄?







≪お前の名は≫


ふいに頭に響く声。


「クロ」


≪お前の望む物は?≫


「ありません」




―誰?


私は辺りを見回す。



≪無い?そんな筈はないだろう?今、欲するものを・・・≫


「・・・“望み”」


≪そう、お前の“望み”だ≫


「望み」




―神様?


もしも願いが本当に叶うのなら、私は願うよ。




「・・・人間に、なりたい」


≪人間に・・・?何故≫


「・・・私は、人間の男の子に恋をしました、だから、せめてこの想いだけは、自分の言葉で伝えたい」



ハッとした。



―私、今何て言った?




≪・・・人間に恋を?それは一生叶わぬ・・・願ってはならぬ想いだろう≫


「でも、感謝しきれないくらい助けてもらった、好きだって言えない位想っているんです・・・だから、人間になりたい・・・私を、人間にしてください」


―私は、何を・・・。



≪どんな条件も飲むと誓うか≫


「はい」


≪条件は一つ、雪が降る頃、お前は猫に戻ると同時にこの世から消える≫



―消、え・・・る?


≪どうする≫



迷うな・・・。



「それでも、いい」


私は強く、強く、発した。






≪では、今日から黒田 埜乃と名乗れ≫







その言葉を最後に、私の意識はどこかへ消えた。








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